ロールは製鉄用・化繊用・紡績用・プラスチック用・事務機用・OA機器用・自動化機器業界等広範囲の分野で使用されている。近年、特に薄物を扱うフィルム業界や印刷業界で高速化による生産性向上や、巻姿改善、印刷ズレ防止等の品質向上への強い要求から従来の金属ロールを主に炭素繊維を使ったコンポジットロールに切り替えられつつあるが、その特徴を十分に理解されないまま使用される場合が多いので本資料によりコンポジットロールの特徴を説明する。
1:コンポジットロールの構造
基本的には右図に示す通りシェル部とヘッダー部およびジャーナル部に分かれており、一般的にシェル部をコンポジット化し、ヘッダー部及びジャーナル部はアルミやスチールを用いる場合が多い。
コンポジットロール設計のポイントは、シェル部のコンポジット物性を最大限にする為に、ロールの使用条件(荷重・許容たわみ量・回転数・表面仕様・温度条件・その他周辺環境等)を定量的に示されることが重要であり、この条件に基き、炭素繊維の種類・積層構造・樹脂の種類と量・成形法・表面使用等を考慮して最適設計を行う。
コンポジットロール設計のポイントは、シェル部のコンポジット物性を最大限にする為に、ロールの使用条件(荷重・許容たわみ量・回転数・表面仕様・温度条件・その他周辺環境等)を定量的に示されることが重要であり、この条件に基き、炭素繊維の種類・積層構造・樹脂の種類と量・成形法・表面使用等を考慮して最適設計を行う。
2:コンポジットロールの特徴
1)軽量・高剛性・高強度というコンポジットロールの長所は、
①慣性モーメントを著しく下げる事が可能になりフリーロールの場合は、
①慣性モーメントを著しく下げる事が可能になりフリーロールの場合は、
フィルム状製品の表面速度に追従し易く、スリップによる製品への傷付や
印刷へのズレを防止する効果がある。
又、今まで駆動式ロールとしていたものがフリーロール化できる場合も
又、今まで駆動式ロールとしていたものがフリーロール化できる場合も
多い。
駆動ロールの場合は、図に示す通り、スタート・ストップ時の回転追従性が良く、回転の制御精度が向上し、
駆動ロールの場合は、図に示す通り、スタート・ストップ時の回転追従性が良く、回転の制御精度が向上し、
且つ必要回転数までの到着時間が短くなり、駆動エネルギーの低減となる。
②軽量のため保守、交換時の人手による作業性が向上する。
②軽量のため保守、交換時の人手による作業性が向上する。
③軽量・高剛性であることにより、ロール自体の危険回転数を上げることが可能になる為、
システムの高速化への対応が容易になる。
また、自重たわみが少なく、たわみ量を一定とした時、従来の金属ロールに比べ、外径を
小さくすることができるため、このロールを使用する機械のコンパクト化が可能となる。
※上記以外に熱膨張率が低く、寸法安定性に優れ、また耐食性も金属ロールに比べ良いことから、
※上記以外に熱膨張率が低く、寸法安定性に優れ、また耐食性も金属ロールに比べ良いことから、
特殊環境下での使用も可能である等、実用上のメリットも多い。
これらの特徴を代表的なロール寸法で定量的に比較すると表の通りになる。
表 アルミ製ロールとコンポジットロールの性能比較
表 アルミ製ロールとコンポジットロールの性能比較
2)コンポジットロールは長所だけでなく次の点を採用前に十分考慮しておく必要がある。
①実用耐熱温度は120℃迄であり、この温度を超えて使用した場合、樹脂が劣化し、
①実用耐熱温度は120℃迄であり、この温度を超えて使用した場合、樹脂が劣化し、
コンポジット物性の維持が困難となるので注意が必要である。
②コンポジットロールの価格は金属ロールに比べ一般的には1.5~3倍程度になるのでコンポジットロールの
コストパフォーマンスを十分考慮に入れた選定が望ましい。
③耐久性は殆ど問題はないが、コンポジットロールは最近の素材でありデータ的に十分な実績がないので
特に苛酷な使用条件の場合は個別に打ち合わせが必要である。